近年、店舗に足を運ばなくても、インターネットを通じて鍵のコピーを注文できるサービスが登場しています。鍵の写真をスマートフォンで撮影して送るだけ、あるいはキーナンバー(鍵番号)を入力するだけで、後日、自宅に合鍵が郵送されてくるという、非常に便利なサービスです。しかし、その手軽さの一方で、「セキュリティ的に本当に安全なのか?」という不安を感じる方も多いでしょう。ネットでの鍵のコピー注文には、確かにメリットと、無視できないデメリット(リスク)が存在します。まず、最大のメリットは、その「利便性」と「専門性」です。近所に鍵屋がない場合や、ディンプルキーなどの特殊な鍵で、店舗ではコピーを断られてしまった場合でも、ネットの専門店であれば対応してくれる可能性が高いです。また、メーカーに直接注文するのと同じ、精度の高い純正キーが手に入るという利点もあります。しかし、デメリット、すなわちセキュリティ上のリスクも慎重に考慮しなければなりません。最も懸念されるのが、「鍵の形状データやキーナンバーといった、極めて重要な個人情報の漏洩リスク」です。あなたが送った鍵の写真や入力したキーナンバーは、サービスを提供する会社のサーバーにデータとして保存されます。もし、その会社が十分なセキュリティ対策を講じておらず、サーバーがサイバー攻撃を受けたり、内部の人間が悪用したりすれば、あなたの家の鍵情報が、見知らぬ第三者の手に渡ってしまう危険性があります。また、郵送の過程で、配送業者のミスや盗難によって、合鍵が他人の手に渡ってしまうリスクもゼロではありません。これらのリスクを少しでも軽減するためには、サービスを提供する運営会社を慎重に見極める必要があります。会社の所在地や連絡先が明確か、プライバシーポリシー(個人情報保護方針)がきちんと定められているか、そして、これまでの実績や利用者の評判はどうか。これらを十分に調査し、信頼できると判断した会社にのみ、依頼すべきです。利便性は非常に魅力的ですが、家の安全という最も大切なものを預けるに値する相手かどうか、冷静に見極める目を持つことが、ネットサービスを利用する上での最低限の作法と言えるでしょう。
ネットでの鍵のコピー注文は安全か