それは、少し遠出した先の観光地の駐車場での出来事でした。一日中楽しんだ後、疲れ切って車に戻り、ポケットを探った瞬間、私の心臓は凍りつきました。あるはずの車のスマートキーが、どこにもないのです。カバンの中も、上着のポケットも、考えられる場所は全て探しましたが、見つかりません。スペアキーはもちろん自宅の引き出しの中。時刻はすでに夕暮れ時、自宅までは高速道路を使っても二時間以上かかります。私の愛車は、五年前の国産ミニバンで、もちろんイモビライザー搭載のスマートキーです。パニック状態の頭で、私はスマートフォンで必死に「車の鍵 紛失 作成」と検索し、一番上に出てきた鍵屋に震える手で電話をかけました。状況を説明すると、「スマートキーでイモビライザー搭載ですね。出張費込みで、おそらく五万円から七万円くらいになると思います」との返答。正直、目の前が真っ暗になりましたが、他に選択肢はありませんでした。依頼から一時間ほどで、作業員の方が到着。専用の機材を車の診断ポートに接続し、何やらパソコンを操作し始めました。新しいスマートキーを登録する作業とのことで、その間、私はただ不安な気持ちで見守るだけ。そして、約一時間後、「完了しました」の声と共に、新しいスマートキーが手渡されました。エンジンが無事にかかった時の安堵感は、今でも忘れられません。最終的に提示された請求額は、税込みで六万八千円。クレジットカードで支払いながら、私は自分の不注意を深く後悔しました。この手痛い出費は、私に二つの重要な教訓を教えてくれました。一つは、スペアキーを絶対に自宅に置きっぱなしにしないこと。もう一つは、購入時に付いてきたキーナンバーのタグを、なぜもっと大切に保管しておかなかったのかということ。あのタグがあれば、もう少し安く済んだかもしれないと、後から知ったのです。このリアルな失敗談が、皆さんの鍵管理への意識を高める一助となれば幸いです。
【体験談】私が車の鍵を全紛失し、支払ったリアルな作成料金