私たちの家族が、この一軒家に越してきてから十年。これまで大きな事件もなく、平和な毎日を過ごしていました。しかし、最近、すぐ近所の家で空き巣被害があったという話を回覧板で知り、私の心はにわかにざわつき始めました。我が家の玄関の鍵は、家を建てた当初から使っている、ごく普通のギザギザした鍵が一つだけ。ニュースで見るピッキングという手口なら、簡単に開けられてしまうのではないか。そう思うと、夜、物音がするたびに目が覚めたり、日中、家を空けるのが怖くなったりと、これまで感じたことのない不安に苛まれるようになりました。「安心を買うと思って、鍵を替えよう」。妻のその一言が、私の背中を押しました。早速、インターネットで地元の鍵屋を数社探し、評判や料金を比較。その中で、最も対応が丁寧で、料金体系も明瞭だった一社に見積もりを依頼することにしました。電話で事情を話すと、すぐに担当者の方が家まで見に来てくれました。ドアの状態を丁寧に確認し、私たちの不安な気持ちに耳を傾けた上で、いくつかのディンプルキーの選択肢と、それぞれの防犯性能について、素人にも分かりやすく説明してくれました。その誠実な対応に、私たちはすっかり安心し、最も防犯性が高いと勧められたCPマーク付きの製品に交換することを、その場で決めました。工事当日、作業員の方は手際よく古い鍵を取り外し、新しいディンプルキーのシリンダーを設置してくれました。作業は三十分ほどで終わり、最後に、新しい鍵の滑らかな操作感と、複製が困難であることを保証する登録カードについて説明を受けました。そして、受け取ったずっしりと重みのあるディンプルキー。その複雑な模様は、まるで家族を守るための頼もしい紋章のようにも見えました。その夜、私は久しぶりに、途中で目を覚ますことなく、朝まで深く眠ることができました。新しい鍵がもたらしてくれたのは、物理的な防犯性能だけではありません。それは、失いかけていた「我が家は安全だ」という、心の平穏そのものだったのです。