店舗や車庫、倉庫などを守るシャッターですが、その多くは、中央に一つだけ鍵がついているのが一般的です。しかし、プロの窃盗犯にとって、この単独の鍵を破ることは、それほど難しいことではありません。シャッターをバールでこじ開けたり、鍵そのものを破壊したりといった手口で、短時間のうちに侵入されてしまう危険性があります。こうした脅威から、大切な資産や商品を確実に守るためには、既存の鍵に加えて、新たに補助錠を追加し、「ワンドアツーロック」ならぬ「ワンシャッターツーロック(あるいはスリーロック)」を実現することが、極めて有効な防犯対策となります。シャッターに追加できる補助錠には、いくつかの種類があります。まず、最も手軽で効果的なのが、「シャッター用アームロック」です。これは、シャッターの左右両端のレール部分に後付けするタイプの鍵で、施錠すると、アームが伸びてシャッターのスラットとレールをがっちりと固定し、シャッターが持ち上げられるのを物理的に防ぎます。外から見て、明らかに鍵が増えていることがわかるため、視覚的な威嚇効果も高く、窃盗犯に「このシャッターは面倒だ」と思わせ、犯行を未然に防ぐ効果が期待できます。次に、より強固な対策として、地面にアンカーを打ち込み、シャッターの下部と地面を堅牢なロックで連結する「シャッターガード」や「グランドロック」と呼ばれる製品もあります。これは、シャッターのこじ開けや、車両によるシャッター破りといった、極めて強引な手口に対して、絶大な防御力を発揮します。特に、高価な機材や商品を保管している倉庫や、高級車を置いている車庫など、高いレベルの防犯性能が求められる場所に最適です。また、既存のシャッター錠そのものを、ピッキングに強いディンプルキータイプの錠前に交換することも、基本的な防犯性能を向上させる上で重要です。シャッターの防犯対策は、一つの鍵に頼るのではなく、複数の異なるタイプの鍵を組み合わせる「多重防御」の考え方が基本です。中央のシャッター錠、左右のアームロック、そして地面とのロック。これらの防御ラインを組み合わせることで、侵入にかかる時間を大幅に長引かせ、窃盗犯の戦意を喪失させることができるのです。
シャッターの鍵を増やして防犯性を高める