ズボンのポケットに車の電子キーを入れたまま、うっかり洗濯してしまった。あるいは、海やプールで、ポケットに入っていることに気づかずに水に浸かってしまった。電子キーは精密な電子機器であるため、水没は故障に直結する、非常に深刻なトラブルです。しかし、水没直後の適切な対処によって、キーが復活する可能性もゼロではありません。焦って間違った行動を取る前に、正しい応急処置の方法を知っておきましょう。まず、水没に気づいたら、一刻も早く水中からキーを取り出します。そして、絶対にやってはいけないのが、「ボタンを操作してみる」ことです。水が内部に入り込んだ状態で通電させてしまうと、電子基板がショートし、回路が完全に破壊されてしまいます。これは、致命的なダメージとなり、キーが復活する可能性を絶ってしまいます。まずは、キーの表面の水分を、タオルやティッシュで優しく、しかし徹底的に拭き取ります。次に、ケースを開けて、内部の基盤と電池を取り出します。ケースの開け方は、電池交換の際と同じ要領です。基盤が見えたら、そこも乾いた布で丁寧に水分を拭き取ります。この時、基盤を傷つけないよう、決して強くこすらないでください。水分を拭き取ったら、次は内部を完全に乾燥させる工程に入ります。ここで、また一つNG行動があります。それは、「ドライヤーの熱風を当てる」ことです。急いで乾かしたい気持ちは分かりますが、電子部品は熱に非常に弱く、ドライヤーの熱で半田が溶けたり、部品が変形したりして、完全に故障してしまいます。最も安全で効果的な乾燥方法は、風通しの良い日陰で、数日間、自然乾燥させることです。より積極的に乾燥させたい場合は、食品用の乾燥剤(シリカゲル)と一緒に、密閉できる袋や容器に入れておくのも良いでしょう。数日間、じっくりと乾燥させた後、新しい電池を入れて、キーのケースを元通りに組み立てます。そして、車に行って、キーが正常に作動するかどうかを確認します。この応急処置で運良く復活すれば幸いですが、一度水没した電子機器は、後から腐食が進んで再び故障する可能性もあります。もし、キーの動作に少しでも不安が残るようであれば、早めにディーラーに相談し、新しいキーを作成しておくのが、最も安心な選択と言えるでしょう。